ジェネリック率が下がる?
もう半年前のことである。
2016年10月にエチゾラムとゾピクロンは第3種向精神薬に指定され、同年11月には投与日数制限(30日)が掛けられることになった。
Drがアモバン(ゾピクロン)の処方をこれからルネスタ(エスゾピクロン)に切り替えるような話が出てきたところも多いのではないだろうか。
一方で、ルネスタなら普通薬で、日数制限もない。
ここで、軽くおさらいをしておこう。
エスゾピクロンはゾピクロンの光学異性体(S体)である。
また、睡眠効果が強く、副作用である苦味が軽減されている。
アモバンの処方が全てルネスタに変更された場合のことを考えてみよう。
アモバンのジェネリック率が30%だとすると先発率は70%である。
何も難しいことはまだ話していない。
これがジェネリックのないルネスタに変更されたなら、先ほどの換算は必要なくなる。
なぜなら、全てが先発だからだ。
稀にいらっしゃるが、ルネスタに変わったらアモバンジェネリック率の30%分が減るのではないか、とおっしゃられる方がいる。
しかしながら、これは間違いだと考えられる。
ありえない話であるが、簡潔なたとえ話を入れよう。
ジェネリック率が60%だったとしよう。
全体のジェネリック率は60%ということになる。
しかし、アモバンが全てジェネリックのないルネスタに変更になった場合、
ジェネリック率は0%になるので全体のジェネリック率は45%となり、
ジェネリック率は下がることとなる…
この考えは間違っている。
ジェネリック率の計算式は以下の通りである。
ジェネリック医薬品/(ジェネリック医薬品のある先発医薬品+ジェネリック医薬品)
この式に従うのであれば、先ほどのジェネリック率は90%ということになる。
つまり、ジェネリック率は下がるどころか、足を引っ張っていた品目が除外された分、上がることになる。
あくまで、たとえ話ではジェネリック率が低い医薬品が先発のみの医薬品に切り替えられる想定であるので、逆の場合もあることは言うまでもない。
新採用医薬品が増えた時に一喜一憂する前に、このことを調べて考えていただければ幸いである。
(後発医薬品調剤体制加算では他にも条件があるので要確認)