高齢者に使いやすい睡眠導入薬
睡眠導入薬はさまざまな種類がある。
アモバン(ゾピクロン)
ルネスタ(エスゾピクロン)
リスミー(リルマザホン)
ソメリン(ハロキサゾラム)
ダルメート(フルラゼパム)
ドラール(クアゼパム)
ロゼレム(ラメルテオン)
ベルソムラ(スボレキサント)
今回、注目していくのはエバミール・ロラメット(ロルメタゼパム)である。
本剤はCYPの代謝を受けない。
これは構造に由来する。
時間のある方はぜひ構造を確認していただきたいが、本剤には水酸基(ーOH)が存在している。
他の医薬品ではCYPによる代謝で水酸基が導入されることが多い。
この差から代謝を受けるかどうかの違いが生じているようだ。
代謝経路はグルクロン酸抱合によるもので、抱合物には活性はない。
CYPが関係していないということは、トリアゾラムのようにCYP阻害薬や誘導薬との相互作用を考えなくていい。
さらに言えば、加齢によりCYPの活性が変動する場合でも問題なく使用できるという利点がある。
以上のことから、高齢者にはロルメタゼパムが使用しやすいのではないかと考えられる。
もし、そうであるならば高齢者にはロルメタゼパムを使用すれば用量の決定といった細かいことを気にする必要がないので、使用率が上がるような気もする。
しかしながら、机上での議論が現場ですべて展開されるわけではないことは絶対に頭に入れておいた方がいい。
どの睡眠導入剤を選ぶかは医師の判断と使用者の効果実感次第で決まるからだ。